用語一覧
映像制作・編集・配給における専門用語を50音順にアーカイブしています。実務で使われる最新の言葉から、伝統的な技法まで網羅。
あ行
A-I-U-E-OIMAX
配信・興行IMAX
カナダIMAX社が開発した大型フィルムフォーマット・上映システム。通常の70mmフィルムを横向きで使用する独自規格で、巨大スクリーンと高音質サラウンドによる没入型体験を提供する映画上映方式。
インティマシーコーディネーター
役職・スタッフIntimacy Coordinator
映画やドラマの性的・親密なシーンの撮影において、俳優の安全と尊厳を守りながら演出意図を実現するための専門調整役。#MeToo運動以降に急速に普及した比較的新しい役職。
ウィンドウ戦略
配信・興行Windowing Strategy
劇場公開からパッケージ・配信・TV放映と、時間差で複数の媒体に順次展開して収益を最大化する映画の流通戦略。配信時代に大きく変容している。
ADR・アフレコ
ポストプロダクションAutomated Dialogue Replacement (ADR)
撮影現場で録音された台詞をポストプロダクションでスタジオ録音に差し替える音声制作技法。「Automated Dialogue Replacement」の略で、日本では「アフレコ」とも呼ばれる音響制作の重要工程。
AP(アシスタントプロデューサー)
役職・スタッフAssistant Producer
プロデューサーを補佐し、制作の実務調整・予算管理・スタッフ手配を担う役職。日本のテレビ業界では「AP」として制度化されており、プロデューサーへのキャリアパスとして重要なポジション。
AVOD
配信・興行Advertising Video On Demand
広告視聴と引き換えにコンテンツを無料で視聴できる動画配信サービスのビジネスモデル。TVer・Tubi・Pluto TV・YouTubeなどが代表例で、SVODの飽和を受けて急成長している。
絵コンテ
制作・企画Storyboard
映像作品の各シーンを絵で描き起こした撮影の設計図。カメラアングル・構図・キャラクターの動き・台詞などを視覚化し、撮影前に作品全体のビジュアルを検討するための重要な制作ドキュメント。
SVOD
配信・興行Subscription Video On Demand
月額または年額の定額料金を支払うことで、カタログ内のコンテンツを見放題で視聴できる動画配信サービスのビジネスモデル。Netflix・Disney+・Amazon Prime Videoなどが代表例。
MA
ポストプロダクションMulti Audio
映像作品の音声を最終的にミックス・仕上げするポストプロダクション工程。日本の映像制作特有の呼称で、海外では「ファイナルミックス」に相当する。
LEDウォール
制作・企画LED Wall / LED Volume
大型のLED画面で背景映像をリアルタイム表示し、撮影現場で仮想的な環境を再現する映像制作機材。バーチャルプロダクションの中核技術として急速に普及している。
オーバーオール契約
ビジネス・契約Overall Deal
トップクリエイターがスタジオや配信プラットフォームと結ぶ包括的独占契約。契約期間中のすべての企画を独占的に提供する代わりに、年間数百万〜数億ドル規模の報酬を得る。
オフライン編集
ポストプロダクションOffline Editing
撮影素材を仮の画質・解像度で編集し、作品の構成・物語・テンポを組み立てる初期段階の編集工程。後のオンライン編集(高画質本編集)の前段階として、編集の中核を担う作業。
か行
KA-KI-KU-KE-KOカラーグレーディング
ポストプロダクションColor Grading
映像の色調・明暗・コントラストを調整し、作品全体の視覚的トーンを統一するポストプロダクション工程。作品の雰囲気を決定づける重要な仕上げ作業。
完パケ
ポストプロダクションFull Package / Master
編集・MA・カラコレなどすべてのポストプロダクション工程を終え、放送・配信・上映にそのまま使える完成状態の映像素材のこと。
キーグリップ
役職・スタッフKey Grip
撮影現場でカメラの動きを支える機材(ドリー、クレーン、リグなど)の設置・操作を統括するグリップ部門の責任者。照明部門のガファーと連携し、映像の物理的な土台を担う。
消えもの
制作・企画Consumable Props
撮影中に消費・消耗される小道具の総称。食べ物、飲み物、タバコ、手紙を破るシーンの紙など、テイクごとに用意し直す必要がある。
ギャファー
役職・スタッフGaffer
撮影現場の照明部門の責任者(チーフライティングテクニシャン)。撮影監督の意図を照明で実現する、映像制作における重要な技術職。
グリーンバック・クロマキー
撮影・映像技術Green Screen / Chroma Key
緑色(または青色)の背景を使い、ポスプロで背景を別映像に置き換える映像合成技法。VFXの基本技術で、SFやアクション映画から天気予報まで広く使われる。
グリーンライト
制作・企画Green Light
スタジオが映画企画の製作を正式に承認し、予算を確保して撮影段階へ進めること。ハリウッドにおいて企画が実現するかどうかを分ける最大の関門。
興行収入
配信・興行Box Office Revenue
映画の劇場公開によって得られるチケット販売収入の総額。作品の商業的成功を測る最も基本的な指標で、配給会社・劇場・出資者の収益分配の基準となる。
興行配給契約
ビジネス・契約Distribution Contract
映画の配給会社と映画館(劇場)との間で結ばれる、上映条件・興行収入の分配・上映期間等を定める契約。映画ビジネスの根幹となる商取引の中心。
香盤表
制作・企画Shooting Schedule / Call Sheet
撮影スケジュールを詳細に記載した一覧表。日付・時間・場所・出演者・必要機材・撮影内容を整理し、撮影現場の全員が共有する制作の中核ドキュメント。
さ行
SA-SHI-SU-SE-SOシークエンス
制作・企画Sequence
一連のシーンが集まって構成される、物語上のまとまりのある映像単位。映画の構造を語る上で欠かせない基本概念。
シネマコンプレックス
配信・興行Cinema Complex / Multiplex
1つの建物内に複数のスクリーンを持つ大型映画館の総称。略して「シネコン」と呼ばれ、1990年代以降に日本の映画興行構造を一変させた。
出演料(ギャラ)
ビジネス・契約Talent Fee / Acting Fee
俳優・タレント・ナレーターなどが映画・ドラマ・CM出演の対価として受け取る報酬の総称。「ギャラ」とも呼ばれ、知名度・経験・作品規模により大きく変動する映像業界の基本的な報酬。
ショーランナー
役職・スタッフShowrunner
テレビシリーズの制作現場における最高責任者で、脚本・演出・予算管理まで統括する役職。映画における監督に相当するが、テレビでは脚本家出身者が務めることが多い。
助監督・AD(アシスタントディレクター)
役職・スタッフAssistant Director
撮影現場で監督を補佐し、進行管理・スケジュール・演出補助などを担う役職。ハリウッドでは「Assistant Director (AD)」、日本では「助監督」と呼ばれ、現場運営の要となる重要なポジション。
シンジケーション
ビジネス・契約Syndication
テレビ番組や映画を、初回放送・公開後に他の放送局や配信プラットフォームに販売し再放送・再配信させる権利取引。米国テレビ業界の重要な収益源で、ヒット番組の制作会社に長期的な利益をもたらす。
ジンバル
撮影・映像技術Gimbal
3軸モーター制御で電子的に振動を補正するカメラスタビライザー。2010年代以降に急速に普及し、ステディカムと並ぶ業界標準の移動撮影機材となった電動式安定装置。
スクリプトスーパーバイザー
役職・スタッフScript Supervisor
撮影現場で脚本との整合性・各テイク間の連続性(コンティニュイティ)を管理し、編集時に矛盾が生じないよう記録・監視する役職。映像の一貫性を守る番人的存在。
スタントコーディネーター
役職・スタッフStunt Coordinator
映像作品におけるアクションシーン・危険シーンの安全な実施を統括する専門職。スタントマンのキャスティング、振付設計、安全管理、リハーサルを担当し、俳優とスタッフの安全を守る。
ステディカム
撮影・映像技術Steadicam
カメラオペレーターの体に装着し、機械式バランサーで振動を吸収する手持ち式カメラスタビライザー。1976年にギャレット・ブラウンが開発し、移動撮影の歴史を一変させた革新的機材。
スプリットスクリーン
撮影・映像技術Split Screen
1つの画面を2つ以上の領域に分割し、それぞれに異なる映像を同時に表示する撮影・編集技法。並行する出来事や対比を視覚的に表現する。
製作委員会方式
配信・興行Production Committee System
映画やアニメの制作において、複数の企業が出資・権利を分担してリスクを分散する日本特有の資金調達・制作体制。テレビ局、出版社、広告代理店、配給会社などが参画する。
た行
TA-CHI-TSU-TE-TOターンアラウンド
制作・企画Turnaround
映画スタジオが開発中の企画の権利を手放し、他のスタジオが引き取れる状態にすること。デベロップメント・ヘルからの脱出口として機能する業界慣行。
ダッチアングル
撮影・映像技術Dutch Angle
カメラを意図的に傾けて撮影することで、不安感や異常事態を視覚的に表現する撮影技法。ドイツ表現主義映画に起源を持つ。
デイアンドデート
配信・興行Day-and-Date Release
映画を劇場と配信プラットフォームで同日に公開するリリース戦略。コロナ禍で一時的に普及したが、映画館チェーンとの対立を招き、その後は縮小傾向にある。
DI(デジタル・インターミディエイト)
ポストプロダクションDigital Intermediate
撮影されたフィルム素材をデジタルデータに変換し、カラーグレーディングやVFXなどポストプロダクション処理を施した後、最終的に上映用フォーマットに出力する工程の総称。
TVer
配信・興行TVer
日本の民放テレビ局5社が共同運営する無料広告型動画配信サービス(AVOD)。地上波の見逃し配信を中心に、リアルタイム配信や独占配信も展開する日本最大級の無料動画プラットフォーム。
TVOD
配信・興行Transactional Video On Demand
作品ごとに個別課金で視聴するデジタルレンタル・購入型の動画配信ビジネスモデル。Apple TV・Google Play・Amazon Videoなどが代表例で、SVODやAVODと並ぶVODの主要形態の一つ。
ディゾルブ
ポストプロダクションDissolve
前のショットが徐々に消えると同時に次のショットが浮かび上がる映像トランジション技法。時間経過や場面転換を滑らかに表現する。
デベロップメント・ヘル
制作・企画Development Hell
映画やドラマの企画が開発段階で長期間停滞し、制作に至らない状態を指す業界俗語。脚本の書き直しや権利問題、スタジオの方針転換などが原因で起こる。
ドリー
撮影・映像技術Dolly
カメラを載せてレール上やフロア上を滑らかに移動させるための台車、およびその台車を使ったカメラワークのこと。ドリーインで被写体に近づき、ドリーアウトで離れる。
Dolby Atmos
ポストプロダクションDolby Atmos
Dolby Laboratoriesが2012年に発表したオブジェクトベース立体音響技術。従来のチャンネルベース音響を超え、音を「物体(オブジェクト)」として3D空間に配置できる革新的なサラウンドフォーマット。
な行
NA-NI-NU-NE-NOなめ(なめる)
撮影・映像技術Over-the-Shoulder
手前に人物や物体の一部を入れつつ、奥の被写体を撮影する構図・技法。「なめる」とも言い、日本の映像制作現場で広く使われる独自の撮影用語。
二次使用料
ビジネス・契約Secondary Use Rights / Secondary Rights
映画・ドラマが当初の用途を超えて再利用される際(再放送、配信、パッケージ販売、海外販売等)に発生する追加報酬。日本の映像業界における主要な再使用料制度。
ノベライズ・コミカライズ
ビジネス・契約Novelization & Comicalization
映画・ドラマ・アニメ等の映像作品を小説(ノベライズ)または漫画(コミカライズ)として書籍化する派生作品形態。映像作品の収益化チャネル拡張とファンベース深化のために重要な役割を持つ。
は行
HA-HI-FU-HE-HOバーチャルプロダクション
制作・企画Virtual Production
LEDウォール・モーションキャプチャ・リアルタイムCGなどを統合し、撮影現場で仮想的な背景・環境を表示する次世代映像制作手法。Disney+『マンダロリアン』を契機に急速普及している革新技術。
バックトゥバック撮影
制作・企画Back-to-Back Filming
続編や複数パートの映画をインターバルを置かずに連続して撮影する制作手法。コスト削減やクオリティの一貫性維持のために採用される。
ハリウッド・アカウンティング
ビジネス・契約Hollywood Accounting
スタジオが経費を水増しして帳簿上の利益を圧縮し、利益分配を最小化するハリウッド特有の会計慣行。ネットプロフィット契約を結んだクリエイターが損をする構造として知られる。
パン
撮影・映像技術Pan
カメラを固定した位置で水平方向に回転させる撮影技法。パノラマ(Panorama)の略で、空間の広がりや人物の視線移動を表現する基本的なカメラワーク。
PVOD
配信・興行Premium Video On Demand
劇場公開中または公開直後の映画を、通常のレンタルより高い料金(2,000〜3,000円程度)でデジタル視聴できるサービス形態。劇場とデジタルの中間に位置する新しい流通チャネル。
Bロール
撮影・映像技術B-Roll
メインの映像(Aロール)を補完する補助的な映像素材。風景、環境、ディテール、インサートカットなどで、編集の柔軟性と表現力を高めるために撮影される副次的素材。
ビリング
ビジネス・契約Billing
映画やドラマのクレジットにおける出演者・スタッフの名前の表示順序や大きさのこと。俳優の格付けや契約交渉における重要な要素。
ファーストルック契約
ビジネス・契約First Look Deal
クリエイターやプロダクションが新企画を開発した際、特定のスタジオや配信プラットフォームに最初に提案する義務を負う独占交渉権付きの契約。オーバーオール契約より拘束力が弱い。
VFX(視覚効果)
ポストプロダクションVisual Effects
実写映像にコンピューターグラフィックス(CG)や合成処理を施し、現実には撮影できない映像を作り出す技術の総称。現代の映画・ドラマ制作に不可欠な視覚表現技術。
4DX
配信・興行4DX
韓国CJ 4DPlex社が開発したプレミアム上映フォーマット。座席の動き・水・風・香り・霧などの体感効果を映画の場面と同期させ、五感で映画を体験する4D映画システム。
フォーリー
ポストプロダクションFoley
映像作品の音響制作で、足音・衣擦れ・物の取扱い音などの日常音をスタジオで再現・収録する音響制作技法。ハリウッドの音響パイオニア・ジャック・フォーリーに由来する業界用語。
フォーリーアーティスト
役職・スタッフFoley Artist
映像作品の音響制作において、足音や衣擦れなど日常的な生活音をスタジオで撮影映像に合わせて制作する専門職。ハリウッドの音響パイオニア「ジャック・フォーリー」に由来する業界用語。
ブロックブッキング
ビジネス・契約Block Booking
配給会社が複数の作品を「セット」として劇場に押しつけ、人気作品を上映する条件に低人気作品も同時契約させる商慣行。米国では独禁法違反で禁止されたが、変形した形で現代も存在する。
プロップマスター
役職・スタッフProp Master
撮影現場における小道具(プロップ)全般の管理責任者。脚本に登場するアイテムの調達・製作・配置・管理を担当し、映像作品の説得力を裏で支える専門職。
ベストボーイ
役職・スタッフBest Boy
撮影現場の照明部門またはグリップ部門で、部門チーフの補佐役を務める役職。機材管理・人員配置・予算管理などの実務を担当する。
ま行
MA-MI-MU-ME-MOマクガフィン
制作・企画MacGuffin
物語を前進させるための仕掛けとなるアイテムや目的のこと。登場人物にとっては重要だが、観客にとってはその正体自体は重要ではない。
マジックアワー
撮影・映像技術Magic Hour
日の出直後や日没直後の短い時間帯で、空が柔らかな金色やオレンジ、青紫に染まる撮影に最適な時間帯。ゴールデンアワーとも呼ばれる。
マスターショット
撮影・映像技術Master Shot
シーン全体を1つのフレームに収めた基準となるショット。シーンの最初に撮影され、後のクローズアップやインサートの参考・繋ぎとして機能する、撮影の出発点となるショット。
マティーニショット
撮影・映像技術Martini Shot
その日の撮影における最後のショットを指す現場スラング。撮影終了後にマティーニを飲みに行けることに由来する。
モンタージュ
ポストプロダクションMontage
複数のショットを組み合わせて時間経過・感情変化・テーマを表現する映像編集技法。ソビエト映画理論に端を発し、現代映画でも広く使われる。
ら行
RA-RI-RU-RE-ROライセンス契約
ビジネス・契約Licensing Contract
映像作品の特定権利(放送権、配信権、商品化権、出版権等)を他者に許諾する契約の総称。映画・ドラマの長期的な収益源として、配給契約と並ぶ映像ビジネスの根幹的な仕組み。
ラインプロデューサー
役職・スタッフLine Producer
映画やドラマの制作現場において、予算管理・スケジュール管理・スタッフ手配など日々のオペレーションを統括するプロデューサー。制作の「ライン(現場)」を回す実務責任者。
ルック
ポストプロダクションLook
映像作品の視覚的な質感・色調・雰囲気の総体を指す用語。カラーグレーディング、照明、レンズ選択などの要素が組み合わさって形成される。
レジデュアル
ビジネス・契約Residuals
映画やテレビ番組が再放送・配信・パッケージ販売などで二次利用されるたびに、俳優・脚本家・監督などに支払われる継続的な報酬。2023年のハリウッドストライキの中心的争点となった。
ロケハン
制作・企画Location Hunting / Location Scouting
映像作品の撮影に適した場所(ロケーション)を探し、評価する作業。撮影前のプリプロダクションの重要工程で、作品の世界観・予算・撮影効率を左右する。