用語一覧
映像制作・編集・配給における専門用語を50音順にアーカイブしています。実務で使われる最新の言葉から、伝統的な技法まで網羅。
あ行
A-I-U-E-Oインティマシーコーディネーター
役職・スタッフIntimacy Coordinator
映画やドラマの性的・親密なシーンの撮影において、俳優の安全と尊厳を守りながら演出意図を実現するための専門調整役。#MeToo運動以降に急速に普及した比較的新しい役職。
ウィンドウ戦略
配信・興行Windowing Strategy
劇場公開からパッケージ・配信・TV放映と、時間差で複数の媒体に順次展開して収益を最大化する映画の流通戦略。配信時代に大きく変容している。
MA
ポストプロダクションMulti Audio
映像作品の音声を最終的にミックス・仕上げするポストプロダクション工程。日本の映像制作特有の呼称で、海外では「ファイナルミックス」に相当する。
オーバーオール契約
ビジネス・契約Overall Deal
トップクリエイターがスタジオや配信プラットフォームと結ぶ包括的独占契約。契約期間中のすべての企画を独占的に提供する代わりに、年間数百万〜数億ドル規模の報酬を得る。
か行
KA-KI-KU-KE-KOカラーグレーディング
ポストプロダクションColor Grading
映像の色調・明暗・コントラストを調整し、作品全体の視覚的トーンを統一するポストプロダクション工程。作品の雰囲気を決定づける重要な仕上げ作業。
完パケ
ポストプロダクションFull Package / Master
編集・MA・カラコレなどすべてのポストプロダクション工程を終え、放送・配信・上映にそのまま使える完成状態の映像素材のこと。
キーグリップ
役職・スタッフKey Grip
撮影現場でカメラの動きを支える機材(ドリー、クレーン、リグなど)の設置・操作を統括するグリップ部門の責任者。照明部門のガファーと連携し、映像の物理的な土台を担う。
消えもの
制作・企画Consumable Props
撮影中に消費・消耗される小道具の総称。食べ物、飲み物、タバコ、手紙を破るシーンの紙など、テイクごとに用意し直す必要がある。
ギャファー
役職・スタッフGaffer
撮影現場の照明部門の責任者(チーフライティングテクニシャン)。撮影監督の意図を照明で実現する、映像制作における重要な技術職。
グリーンライト
制作・企画Green Light
スタジオが映画企画の製作を正式に承認し、予算を確保して撮影段階へ進めること。ハリウッドにおいて企画が実現するかどうかを分ける最大の関門。
さ行
SA-SHI-SU-SE-SOシークエンス
制作・企画Sequence
一連のシーンが集まって構成される、物語上のまとまりのある映像単位。映画の構造を語る上で欠かせない基本概念。
ショーランナー
役職・スタッフShowrunner
テレビシリーズの制作現場における最高責任者で、脚本・演出・予算管理まで統括する役職。映画における監督に相当するが、テレビでは脚本家出身者が務めることが多い。
スクリプトスーパーバイザー
役職・スタッフScript Supervisor
撮影現場で脚本との整合性・各テイク間の連続性(コンティニュイティ)を管理し、編集時に矛盾が生じないよう記録・監視する役職。映像の一貫性を守る番人的存在。
スプリットスクリーン
撮影・映像技術Split Screen
1つの画面を2つ以上の領域に分割し、それぞれに異なる映像を同時に表示する撮影・編集技法。並行する出来事や対比を視覚的に表現する。
製作委員会方式
配信・興行Production Committee System
映画やアニメの制作において、複数の企業が出資・権利を分担してリスクを分散する日本特有の資金調達・制作体制。テレビ局、出版社、広告代理店、配給会社などが参画する。
た行
TA-CHI-TSU-TE-TOターンアラウンド
制作・企画Turnaround
映画スタジオが開発中の企画の権利を手放し、他のスタジオが引き取れる状態にすること。デベロップメント・ヘルからの脱出口として機能する業界慣行。
ダッチアングル
撮影・映像技術Dutch Angle
カメラを意図的に傾けて撮影することで、不安感や異常事態を視覚的に表現する撮影技法。ドイツ表現主義映画に起源を持つ。
デイアンドデート
配信・興行Day-and-Date Release
映画を劇場と配信プラットフォームで同日に公開するリリース戦略。コロナ禍で一時的に普及したが、映画館チェーンとの対立を招き、その後は縮小傾向にある。
ディゾルブ
ポストプロダクションDissolve
前のショットが徐々に消えると同時に次のショットが浮かび上がる映像トランジション技法。時間経過や場面転換を滑らかに表現する。
デベロップメント・ヘル
制作・企画Development Hell
映画やドラマの企画が開発段階で長期間停滞し、制作に至らない状態を指す業界俗語。脚本の書き直しや権利問題、スタジオの方針転換などが原因で起こる。
ドリー
撮影・映像技術Dolly
カメラを載せてレール上やフロア上を滑らかに移動させるための台車、およびその台車を使ったカメラワークのこと。ドリーインで被写体に近づき、ドリーアウトで離れる。
な行
NA-NI-NU-NE-NOは行
HA-HI-FU-HE-HOバックトゥバック撮影
制作・企画Back-to-Back Filming
続編や複数パートの映画をインターバルを置かずに連続して撮影する制作手法。コスト削減やクオリティの一貫性維持のために採用される。
ハリウッド・アカウンティング
ビジネス・契約Hollywood Accounting
スタジオが経費を水増しして帳簿上の利益を圧縮し、利益分配を最小化するハリウッド特有の会計慣行。ネットプロフィット契約を結んだクリエイターが損をする構造として知られる。
パン
撮影・映像技術Pan
カメラを固定した位置で水平方向に回転させる撮影技法。パノラマ(Panorama)の略で、空間の広がりや人物の視線移動を表現する基本的なカメラワーク。
PVOD
配信・興行Premium Video On Demand
劇場公開中または公開直後の映画を、通常のレンタルより高い料金(2,000〜3,000円程度)でデジタル視聴できるサービス形態。劇場とデジタルの中間に位置する新しい流通チャネル。
ビリング
ビジネス・契約Billing
映画やドラマのクレジットにおける出演者・スタッフの名前の表示順序や大きさのこと。俳優の格付けや契約交渉における重要な要素。
ファーストルック契約
ビジネス・契約First Look Deal
クリエイターやプロダクションが新企画を開発した際、特定のスタジオや配信プラットフォームに最初に提案する義務を負う独占交渉権付きの契約。オーバーオール契約より拘束力が弱い。
ベストボーイ
役職・スタッフBest Boy
撮影現場の照明部門またはグリップ部門で、部門チーフの補佐役を務める役職。機材管理・人員配置・予算管理などの実務を担当する。
ま行
MA-MI-MU-ME-MOマクガフィン
制作・企画MacGuffin
物語を前進させるための仕掛けとなるアイテムや目的のこと。登場人物にとっては重要だが、観客にとってはその正体自体は重要ではない。
マジックアワー
撮影・映像技術Magic Hour
日の出直後や日没直後の短い時間帯で、空が柔らかな金色やオレンジ、青紫に染まる撮影に最適な時間帯。ゴールデンアワーとも呼ばれる。
マティーニショット
撮影・映像技術Martini Shot
その日の撮影における最後のショットを指す現場スラング。撮影終了後にマティーニを飲みに行けることに由来する。
モンタージュ
ポストプロダクションMontage
複数のショットを組み合わせて時間経過・感情変化・テーマを表現する映像編集技法。ソビエト映画理論に端を発し、現代映画でも広く使われる。
ら行
RA-RI-RU-RE-ROラインプロデューサー
役職・スタッフLine Producer
映画やドラマの制作現場において、予算管理・スケジュール管理・スタッフ手配など日々のオペレーションを統括するプロデューサー。制作の「ライン(現場)」を回す実務責任者。
ルック
ポストプロダクションLook
映像作品の視覚的な質感・色調・雰囲気の総体を指す用語。カラーグレーディング、照明、レンズ選択などの要素が組み合わさって形成される。
レジデュアル
ビジネス・契約Residuals
映画やテレビ番組が再放送・配信・パッケージ販売などで二次利用されるたびに、俳優・脚本家・監督などに支払われる継続的な報酬。2023年のハリウッドストライキの中心的争点となった。